嘘か真か

最近、少し金の価格が戻ってきています。シリアの情勢不安やアメリカの景気回復のペースが鈍ってきていることから、金融緩和の縮小が先送りされるのではないかという見方が強くなってきているためです。また、中国の景気がまた盛り返してきて、金が大好きな中国での需要は当分続くだろうという予想もあります。ただ、中国の好景気はいつまで続くのでしょうか?わたしは中国の好景気はそろそろ終わりで、それにともなって金の価格も下がるように思えてなりません。

中国国家統計局が発表する製造業購買担当者景況指数などを見てみると、やや低迷していた中国の景気はこの8月で大きく改善されたように思えます。金の需要の大きい中国での景気向上は、金相場の上昇につながるので、中国の景気がこれからも続くようであれば、金の価格がまた上がり続ける可能性もなきにしもあらずです。しかし、今年に入ってから中国で経済統計の水増しが相次いで発覚し、公式発表でさえどこまで信じて良いのか疑問に感じます。

わたしたちのように古物を扱っていると、中国に対して不信感を抱くようになってしまいます。中国は著作権などの知的財産権という考え方が希薄なためです。ヴィトンやロレックスのようなブランドバッグ・、ブランド時計のコピー品、PSPや3DSなどゲーム機もどき、DVDやゲームソフトの海賊盤など知的財産権を侵す品物が横行しています。本物は高くて手が出ないから、偽物を代用品にするというなら、法的にアウトでもその気持ちはわからないでもないですが、偽物を本物と偽って売るのは、悪意しか感じられません。

骨董品などでもそうです。例えば、中国の古銭である馬蹄銀というものがあります。中国では昔から馬の蹄の形にした銀の塊をお金として使ってきました。かなり純度の高い銀で作られており、重さも数十グラムの小さなものから2kg近い大きなものまで、様々な種類が使われていました。純度の高い銀製品ですので、金属としての価値もありますが、骨董的な価値もあるのでかなりの高額で取引される品物です。

この馬蹄銀のような品を、中国の有名な博物館で買ってみえる方がいるようですが、まず間違いなく偽物です。本物というふれこみで、金属としての価値程度の値段で売っているみたいですが、実際は鉛で作られていて何の価値もない代物がほとんどです。博物館の職員とおぼしき人物までもがそのように偽物、あるいは本物であってもたいした価値のない物を高値で販売しているそうなので、中国の公的機関もどこまで信用できるかわかりません。

もちろん、中国の全部が全部そうだとまでは思いませんよ。学生時代に一緒に机を並べて勉強した中国人留学生は真面目な良い人ばかりでしたし、馴染みの中華料理屋さんの中国人も良い人が多い。逆に日本人にだって、偽物のブランド品やブランド時計を持って、わたしたちを騙そうとしてやってくる悪い人はいます。日本人にも良い人、悪い人がいるように、中国人にも良い人、悪い人がいるわけです。ただ、文化的な背景から、中国の方が偽造・偽装に抵抗が薄いので、気をつける必要があります。

今後の金相場の行方には中国の景気の動向が大きく影響する事でしょう。もし、中国が発表している数字に嘘があれば、期待感から一時的に金の価格が上がったとしても、現実の金の需要は伸びずに、遠からず金の価格は下がります。どんなに見かけの数字は偽る事ができても、現実を変える事はできないのです。中国の好景気は嘘か真かどちらでしょうね。


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