ハイパーインフレ

ハイパーインフレお金の「円」の下には「銭」や「厘」という単位があるというのはいつぞやもお伝えした通りです。現在の日常生活では使われなくなったこれらの単位ですが、戦後もすぐのころには50銭黄銅貨や5銭紙幣なども存在していました。それなのに、なぜ今では使われていないのでしょうか?それは、戦後にものすごい勢いで物価の上昇が起こったためです。

およそ、戦後の5年間で物価は100倍にもなりました。あまりピンとこないかもしれませんが、戦前、戦時中は1円が今の1,000円程度の価値があったのですが、それが5年ほどで10円程度の価値にまで下がったのです。物価が100倍になった日本を想像してみてください。1,000円札を持ってお買物に出かけても、うまい棒1本しか買えない。缶ジュース1本買うのにも10,000円札が必要。10年後の日本がそんなふうになってしまっては恐ろしいですね。このような極端な物価の上昇が止まらなくなる事をハイパーインフレと呼びます。

この物価の上昇は、戦地に行っていた兵隊さん達が帰国してきて国内での需要が急増したことも原因の一つではありますが、膨大な復興費用や戦時国債の支払いのために、大量のお金を発行してしまったことも原因として挙げられます。物が不足しているのに、現金が溢れているわけですから、物価は天井知らずに高くなっていったのです。戦後という特殊な状況だったと考えてしまいがちですが、需要と供給、そして流通する通貨量のバランスが崩れてしまうと、現代でも激しいインフレは起こりえます。実際に、20年ほど前にブラジルでは年間3000%近いインフレを記録しています。

また、資源を輸入に頼る日本では、円安が進むと、様々な品物の物価が上昇します。最近、ガソリンが高くなってきてますよね。このまま円安が続くと、火力発電に必要な化石燃料も高くなるので電気代がますます上がるでしょうし、そうなると生産コストが上がって、様々な品物の販売価格も上がってしまう事が考えられます。国際相場が上昇を続けている小麦などを原料にする食品も影響を免れないでしょう。うまい棒が1,000円になる時代が来るかもしれません。

少し話が逸れてしまいましたので話を戻しますね。戦後、そうして激しく物価が上昇して、銭、厘単位のお金の実用性がなくなったため、昭和28年に「小額通貨の整理及び支払金の端数計算に関する法律」が施行されて、1円未満のお金は法的な価値を失いました。もちろん、突然に使えなくなったわけではなく、半年くらいの期間に両替してくださいよって事になったのですが、あまりにも小額なので面倒くさがって両替しなかった人も多かったようです。

それに伴って、高額の紙幣、貨幣が発行されるようになっていきます。昭和28年には、1000円札、500円札、100円札、50円札、10円硬貨、5円硬貨、1円硬貨が使われていたのですが、昭和30年に50円硬貨、32年に100円硬貨、5000円札、33年に10000円札が登場しました。500円硬貨が登場したのは比較的最近の昭和57年なので、それまで使っていた500円札を覚えている方も多いでしょうね。

このように物価の急激な上昇と、それに合わせた法整備によって、今では銭、厘単位のお金は使われなくなり、相場などの世界でその呼び名が使われるだけとなりました。現在、デフレ不況から抜け出すためにインフレを待望する声が大きくなってきているので、これから物価が上昇していけば、1円玉が使われなくなったり、10万円札が登場するかもしれませんね。ただ、インフレが止まらなくなって、1億円札とかが必要な世の中にならないように願います。


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