恵方巻

今日は節分ですね。鬼は外、福は内といて豆を投げる風習は、地域によって若干の差があるものの、日本では古くから続く風習です。もともとは鬼を追い払う追儺と呼ばれる儀式で、平安時代の宮中で大晦日に行われた行事でしたが、室町時代ごろから立春の前日に豆を使って鬼を追い払う現在の節分になったようです。

さて、そんな節分に付き物なのが恵方巻です。太巻きを、その年の恵方に向きながら丸かじりします。コンビニやスーパーには節分の日には必ず恵方巻が売られ、最近では中の具が豪勢な恵方巻も多く、どれを買おうか迷ってしまいます。わたしは今年は遠鉄ストアで売られていた恵方巻を買ってきて食べましたが、美味しかったですよ^^

しかし、この恵方巻は節分とは全く関係ないし、日本の伝統行事でも何でもなさそうです。今年は皇紀でいうと2678年です。神武天皇が即位されて以来2678年間も日本は続いてきました。まあ、皇紀は日本書紀の記述に基づくものなので、実際の日本の歴史はもっと短いでしょうが、とにかく日本国は建国以来、滅ぼされる事なく現在に至ります。そのため伝統行事というとどれも長い歴史を持つものだと思いこんでしまいますが、この恵方巻のように新しい伝統行事っぽいものも実はたくさんあったりします。

前も少しお話しましたが、神社でニ礼二拍手一礼が定着したのは第二次世界大戦後ですし、初詣が一般的になったのも明治維新後の事でしかありません。明治維新まではお寺と神社は明確に分かれていなくて、参拝方法もまちまちだったようです。日本の歴史の節目の部分で、大きな文化の転換もあったので、失われた伝統や、新しく生まれた伝統があったのでしょう。それを考えると起源を平安時代まで遡れる節分は、日本の根源的な行事と言えるでしょう。

そして、恵方巻が生まれたのは平成に入ってからです。もっとも新しい日本の行事の一つだと思います。大阪の風習として、広島のコンビニが始めたのが起源です。大阪の風習という触れ込みですが、該当するような風習は大阪の人でも知らないのですから、本当にそんな風習があったのかすらはっきりしていません。ただ、この広島のコンビニが恵方巻を伝統行事にまで仕上げた事は、土用丑の日にウナギを食べる風習を生み出した平賀源内に匹敵する偉業だと思いますよ。

時代が変われば文化も風習も変わります。守るべき古い伝統を守りつつ、新しい伝統を生み出していくのが人の営みです。平安時代から続く追儺と、平成から始まった恵方巻が融合した現代の節分は、そんな人の営みの象徴する風習のような気がします。


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