中古屋の苦悩

中古屋の苦悩当店は、中古市場の価格に照らし合わせて、できる限り高価買取するように目指していますが、品物によってはお客様のご期待から大きく外れた買取金額になってしまい、申し訳なく思うことがあります。たとえは、今回の画像の左側の品物。昭和39年に行われた東京オリンピックを記念して発行された1000円銀貨ですが、東京オリンピック終わって間もない頃は1万円以上で取引されていました。バブルの頃くらいまでは5000円以上で買取されていた品物が、今では当店の販売価格で1800円です。右側の品物も、切手コレクターならずとも耳にした事があるかと思いますが「見返り美人」という非常に人気の高い切手です。これもかつては1万円以上で取引されていましたが、今では当店の販売価格で1500円です。販売価格でこの金額ですから、買取金額は当然ながらこれより低い金額になるので、高かった当時の事を覚えている方のご期待に応える事は難しいです。

カメラや洋酒などもご期待に応える事が難しい商品です。今やデジカメ以外の需要はほとんどないので、昭和時代に作られたカメラに、カメラとしての需要はほとんどありません。かといってアンティークと言うには新しすぎてやはり需要がない。当時は高価な品物だったので、ある程度の金額で売れると期待される方が多いのですが、残念ながら、新しいカメラを買う時にカメラ屋さんに持って行って下取りしてもらう方がお得です。洋酒も、昔は円安や関税、酒税のために高級品でしたが、当時数万していた洋酒が今は1/10以下の金額で新品を買うことができます。そして、ワインと違ってウイスキーやブランデーは瓶詰後に熟成しないので、長年寝かせていても品質が上がる事がありません。むしろ、新品の方が安くて品質が良いのが洋酒なのです。

一番難しいのは着物です。今の若い人は着物を着るなんて成人式くらいしかありません。成人式用に中古の着物を買う人もほとんどいないでしょうし、仕立て直す必要があるので中古の着物の需要はかなり低いです。たとえ何十万、何百万した品物であっても、中古で欲しいという人がいなければ、中古市場では値段が付きません。これは、当店に限った話ではなく、中古業界全体の流れです。中古の価格は、その品物の定価に対して何%みたいな感じにつくのではなく、需要と供給によって決まってくるので、需要が少なくなってしまった品物は値段が下がりますし、手放す人が多い品物は供給過多でやはり値段が下がっていってしまいます。せっかくご来店いただいたお客様すべてにご満足いただける金額で買取させていただきたいのに、中古の相場はそんなわたしの思いとは関係なく動くので、どうしようもできません。

ちょっと気を付けていただきたいのは、この着物のようにどこも高く買取できない品物を、高く買取しますとうたって電話をかけてきたリ、訪問してくる買取業者です。多くの人が処分に困っている品を、高く買取するように見せかけてお客様に近づいて、着物そっちのけで金目の物をむしり取ろうとしてくる怖い業者が多くいるので、お気を付けください。今は訪問買取に対するクーリングオフができるようになりましたが、その業者が行方をくらましてしまっては手の打ちようがありません。旨い言葉には裏があるかもしれませんので、本当に気を付けてくださいね。

しかしながら、今は需要が少なくて価値が下がっている品物も、いずれは価値が上がってくるかもしれません。着物にしても、東京オリンピックで世界中に日本ブームがおこり、日本の着物を欲しがる外国人が増えてきたら、今よりかは多少マシな金額で買取できるようになるかもしれません。また、最近では振袖をそのままドレスのように着付ける事ができるオリエンタル和装というのもあるらしいです。若い人が着物に触れる機会が増えれば、需要も増えてくるかもしれません。そうなれば、着物を売ってしまったりせずに、お子さんやお孫さんに使っていただく事もできるようになるでしょう。

当店は買取業をしていますが、着物だけでなくアクセサリーやブランド品なども、お客様自身や、身内の方が使っていただくのが一番だと思っています。当店がどんなに頑張って高く買取しているといっても、お客様が購入された金額とは比較にならないのを十分に承知しているので、売る事を強いるような真似は決していたしません。ただ、お客様自身も、身内の方も使う人がいなくて、しまっているだけの品物があるなら、お譲りいただきたいと思います。そうすれば、その品物も別の場所で有意義に使われる事になるし、お客様も多少なりの現金を得て、それを旅行や食事など有意義な事に使う事ができるのです。使う人がいないお品物がございましたら、ぜひ当店にご相談ください。


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