アメリカの大統領選挙はトランプさんの勝利で終わりました。多くの人の予想では、ヒラリーさんの方が有利だったのですが、アメリカ国内には予想以上に今の政治に対する不満がたまっていたようです。それに、アメリカのほとんどの新聞社はヒラリーさんへの支持を表明し応援していたにも関わらず敗れたという事は、新聞に触れる事が少なくて影響をあまり受けない層がアメリカを動かしたと言っても過言ではないでしょう。
日本はアメリカに比べれば格差が小さく、識字率も高いので、新聞の普及度が高いです。日本新聞協会のサイトのデータによると、日本は成人人口1000人当たりの新聞発行部数は410ですが、アメリカは157.4と日本の半分以下しかありません。アメリカで日常的に新聞を読む層はかなり限られているようです。すると、新聞を読んでいれば当然知っているような国際情勢を知らず、トランプさんが発言してきたような日本に対する誤解と偏見を多くのアメリカ国民が持っているのかもしれません。
しかし、トランプ大統領が誕生することが決まった以上、それに向けて世界は進んでいかざるを得ません。株や為替、金相場は、トランプ勝利で大荒れになりましたが、一夜明けて平常に戻ってきました。勝利後のトランプさんの会見が型破りではなく落ち着いたものだった事も、相場を落ち着かせる要素にもなりました。実際に大統領に就任したら、ビジネスマンらしい堅実さを見せてくれるかもしれませんし、アメリカ議会は大統領の独裁を阻止できる仕組みになっていますから、思ったほど酷い状況にならないかもしれませんよ。
まず注目すべきはTPPです。ヒラリーさんもTPPに対しては否定的ではありましたが、オバマ大統領の任期中に決定した事を覆すまではしないだろうという予想がありました。しかし、トランプさんは大統領に就任したらすぐにTPPから抜けると発言していました。12国間の話し合いで決定した事を、大統領が代わったからと一方的に反故にするなんて非常識でふつうはあり得ません。もし、そんなあり得ない事をやってしまう大統領なのであれば、先行きが不安になって、また金が上がる事でしょう。しかし、ここで現実的な対応ができれば、トランプさんに投票した人はがっかりするかもしれませんが、世界はひとまず胸をなでおろす事ができます。現実的な手段で、トランプさんが主張していたようにアメリカを強くする方向に動いてくなら、ドルや株の価格は上がり、金の価格は下がっていく事になるかもしれません。トランプさんの大統領就任直後のTPPに対する対応を見守りましょう。