金相場を動かすアメリカ、ロシア、中国の動き

最近、また金相場の動きが読みにくくなってきましたね^^;
今までのところ、アメリカの金融緩和の縮小が金相場を下げる大きな要因としてありました。アメリカの景気の動向を示す雇用統計によって左右しますが、雇用が回復している傾向を示せば金融緩和の終了が近づき金相場が下がる。逆に雇用が悪化していれば、まだ金融緩和が続くと判断されて金相場は少し値を戻す。そんな感じで、去年から推移してきました。

それが、先月下旬からウクライナの情勢が悪化し、ロシアと欧米諸国が対立の様相を示すようになってきました。戦争のような大規模な社会不安がおこれば、現金より金を持っていた方がリスクは少ないので、金の需要は高まり値を上げます。ロシアとアメリカという大国同士の衝突となれば、一歩間違えば世界大戦にまで発展しかねない緊急事態です。当然ながら金の相場を押し上げる要因となりました。

そんなわけで今月上旬は、いうなれば金相場を大きく押し上げる動きと、逆に押し下げる動きとがにらみ合っている状況でした。もっとも、ロシアが戦争まで望んでいるとは思えないので、ある程度の譲歩を欧米から引き出せれば引きさがり、自体は沈静化するとわたしは思います。ウクライナという国に深く根をはる対立の構図が消える事は、容易に消えはしませんが、ロシアが乗り出さなければ世界規模の混乱は生じないでしょう。

しかし、ここにきてまた新しく金相場に影響を及ぼす出来事が登場しました。中国の社債市場で初のデフォルトがおこったのです。今までは破綻しないように国が支えて来ていたのですが、中国政府は破綻を容認するように方向転換したようです。これはこれで、市場が健全になる良い傾向だととらえられなくもないですが、今まで返済能力のない借り手に政府からの救済措置が与えられていたのが突然になくなったのですから当然に市場は混乱します。

中国政府のデフォルト容認への方向転換によって、借り手も貸し手も、最後は政府が何とかしてくれると甘く考えていたのが通用しなくなったのですから、中国企業は資金繰りが苦しくなるでしょう。中国の景気にブレーキがかかり市場が混乱することで、リスク回避のために金の需要が高まると考えられます。しかし、本格的に中国経済が破綻してしまえば、中国の政府、企業、個人が蓄えた金が市場に大量に流れ込む事も考えられます。中国が持っている金は、世界の金相場を大きく左右できる程の量です。金の実需も中国が世界で最大です。その中国経済が崩壊するような事があれば、金相場は一気に崩れおちるでしょう。

アメリカの金融緩和の終了は金相場を下げ、ウクライナ情勢の緊迫化は金相場を上げ、中国経済の不安は短期的には金を上げるが長期的には金を下げる。もちろん、他にも細かい要素はたくさんありますが、今のところ大きいのはこの3つです。金相場の今後が気になる人は、この3つの動向を追えば、答えが見えてくるかもしれません。


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