景気と金相場は反比例

くどいくらいに繰り返してきましたが、金の相場はこれからも下がり続けると考えられますので、貴金属を手放そうかと検討中の方はお早めにご相談ください。
先月末から今月の頭にかけて、アメリカの政府閉鎖による社会不安から一時は金が買われて上昇しましたが、すぐに金価格は下がってきました。しかも、金の上昇と並行してドル安円高になったので、国内の価格はそれほど大きく上がってはいません。今後も、一時的な上昇はあっても、今の水準より高くなる見込みは薄いです。そうすると相場とにらめっこして、高くなった日を選んで売るより、一日でも早く売った方が得になるかと思います。

今後、金価格が上がる見込みがあるとすれば、社会不安が極度に高まるか、供給量が大幅に減少するか、需要が極端に増えるか、円相場が暴落するかの4つの理由が考えられます。

近年の金の高騰はサブプライムローン破綻、リーマンショックとつながる全世界的な不況が原因でした。30年前の高騰の時は中東の動乱によるオイルショックが発端だと考えてよいでしょう。社会不安は経済的なものであれ、戦争であれ金の価格を押し上げます。
今、アメリカはデフォルトの危機にありますが、世界のリーダーを自負するアメリカがデフォルトなどという恥をさらす事はないと思いますので、回避することはほぼ間違いないでしょう。中国のバブル崩壊の可能性も怖いですが、大企業は中国が危うい事を折り込み済みで活動拠点を中国からほかの国々に移してきていますので、万が一の時もダメージは抑えられると思います。日本もアベノミクスの失敗の可能性がなきにしもあらずですが、日本だけが不況になったところで、金相場に大きな影響を与えないことは日本のバブル崩壊前後の金相場を見れば明らかです。

供給量の減少は、金山での採掘量に注目されます。新しい金山でも見つからない限り、今ある金山を掘るしかないわけですが、今ある金山は採掘コストの低い地表近くの金は掘りつくしてしまい、どんどんコストがかさんできている状況です。そうしてコストがかさむ一方で金相場が下がり続けてきているため、コストに見合わなくなってきて、鉱山では人員整理をしたり閉山を検討したりしているようです。逆に、こうして金山で採掘される金が減ってきたら、当然ながら金の供給量が減るので金の価格は上昇します。金相場と生産コストはある程度のラインでバランスがとれると考えられます。
ただ、地球に残されている未採掘の金も、計算上はあと2、30年程で掘りつくすことになります。そうなると金の供給量はそれ以上は増えないわけですから金の価格は高騰することでしょう。次にやってくる金価格のピークは、金を採掘しつくした時にくるかもしれません。

需要の増加はあまり見込めないと思います。アジアには根強い金信仰があるので、相当な個人消費がみこめます。特に11月にインドの正月ともいえるディーワーリーというお祭りがあり、中国には2月に旧正月があり、毎年そのころには金の装飾品が売れるので金の需要が高まり値もあがります。しかし、そうした一時的な需要増によって金の価格が上がったとしても長く続きません。個人の需要よりも投資家や各国の中央銀行が動かす金の量の方が圧倒的に多いので、多少の増減はあっても全体の流れを変える程の力はないのです。実際に、日本もバブルのころに金の装飾品を身につけるのが流行りましたが、そうして金の需要が伸びていたはずのバブルの頃は、金がとても安かったものでした。

一番可能性があるのは円の暴落による金価格の高騰です。やはり再三お伝えしてきたように、国際相場で動く金の価格は円が安くなると高く、円が高くなると安くなります。アベノミクスとそれに伴う日銀の異次元金融緩和によって1ドル70円台であった円相場は100円近くにまで安くなりました。これにより、世界中で金の相場が下がっているなかで、日本だけが過去30年で最も高い価格になったのは記憶に新しいかと思います。円相場が1円安くなれば金の相場は40円から50円程度上がりますので、もし1ドル120円くらいまでになれば再び過去30年の最高値に近づく事になります。しかし、このところ円相場は安定し、一時期1ドル100円を越えていたものの、最近では97円から99円くらいで推移しています。また円が急落するような事はあるのでしょうか?
円が安くなれば金も上がりますが輸入品の価格も上昇します。ガソリンは上がり続けていますし、小麦などの値上がりにより、パン屋さんやラーメン屋さんなどでも値上げをするお店が増えてきました。電気料金も高くなりましたね。円が一気に安くなりすぎると国民の生活にシワ寄せがくるので、円が安くなりすぎないように国が目を光らせているのでしょう。あまり歓迎したい事ではなかったですが、消費増税を先送りしなかったのも、円安にならないようにする配慮もあったと思います。何らかの政策の失敗で、たとえば安倍総理が前言を翻して消費増税を延期するとか言ったなら一気に円安に振れてしまう可能性が無きにしも非ずですが、やはり今のところはその見込みは薄そうです。

こうして、金が上がる可能性があるかを一つずつ検討してみても、金が上がる見込みが薄いのがおわかりいただけるかと思います。ただそれは、世界がリーマンショックによる不況から立ち直りを見せてきている証拠でもあります。世界の、特にアメリカの景気が安定してドルが強くなってくれば、金に流れていた現金はドルに戻っていきます。各国の中央銀行が外貨準備として蓄えてきた金も放出されてくるでしょう。そうなれば金の価格は急落します。金を手放すなら、景気が回復の兆しを見せている今のうちがチャンスなのです。
おそらく、20年後には金を掘りつくしているでしょうし、景気の周期もあるのでまた金が高くなる事もあるでしょう。しかし、そのときにまで今の金を持っておくよりも、今は手放してしまって、5年後、10年後あたりで金がすごく安くなった時を狙って買いなおしておけば、次の金の高騰時にも美味しい思いができると思います。世界の景気と金相場はほぼ反比例するので、景気が良い時には安くなった金を買い、景気が悪くなった時には高くなった金を売るのがお得なのです。


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