円安になると金は上がる?下がる?

とあるインターネットの記事で、1ドル120円になれば金の価格は5400円まで上がるというのを見かけました。確かに、国際的な金の価格が1400ドル前後を維持したまま1ドル120円の円安になれば、国内の金の価格は5400円になります。しかし、そんな事がおこりうるのでしょうか?

その記事では、日銀が掲げる「2年で物価上昇率2%」という目標を達成するために更なる金融緩和を行い円安になると語っています。確かに無制限に金融緩和を行えば物価上昇2%を実現する事は難しくありませんし、当然ながら円安にもなります。しかし、物価上だけしても、それが皆の給料に反映されなければ何もなりません。特に、エネルギーや食糧の多くを輸入に頼る我が国では円安が物価に及ぼす影響は大きいので、物価上昇の目標を達成するためだけに過度の円安を放置してしまえば、景気の回復なしに物価だけが上昇するスタグフレーションに陥ります。まっとうな政治が行われていれば、そのような数値目標達成のために国民の生活を犠牲にするような事はまず考えられません。段階的に円安を進めて120円を目指すならわかりますが、物価上昇2%の目標のために1ドル120円にする事はないでしょう。

また、円安になっても国際的な金の価格が変わらないという前提もおかしいです。確かに、再三お話してきたように円安になると国内の金価格は上昇します。しかし、円安になると国際的な金価格は下がる傾向にあるのです。そもそも、近年の金価格の高騰はリーマンショック以降のドル安が主な原因となっています。通貨への信頼が低下するのを防ぐため各国の中央銀行は金を買入れ、投資家は日に日に価値を減じていく現金よりも安全な金を求めました。そこにヨーロッパの金融危機や、景気の良い中国やインドでの貴金属の需要が伸びた事も重なって、未曾有の金高騰を招いたのです。当然ながらドル高つまり円安になれば金の需要も落ち着き下がります。円安になっても国際的な金の価格が変わらないというのはまずあり得ません。

先ほども少し書いたように、今の金の高騰は、様々な偶然が重なったおかげなのです。今より高くなるとは容易に考えられないですし、それどころか今の高水準がいつまで続くかすらわかりません。先日、FOMC(連邦公開市場委員会・アメリカの金融政策を決める)で、金融緩和の継続は決まったものの、状況次第で縮小し、来年には終了する可能性を示したので、ドルの信頼が回復するとともに金相場は下がっていくことでしょう。アメリカがリーマンショックから完全に立ち直ったとすれば、またリーマンショック級のアクシデントでもなければ金が高くなる事はないと考えるべきだと思います。

今も刻一刻と金の価格は下がっています。今回のFOMC後に円安と金安の両方に動いているので、明日の金相場は国際価格が下がった分を円安で吸収してトントンになるか、今日よりも低い金額になる事でしょう。資産を分散投資(ポートフォリオ)する時に、インフレヘッジとして金を少し所有するのは良いと思いますが、利益を得ようとして値上りするのを待つのはおススメできません。やはり一般の家庭に眠っているネックレスや指輪などの金を手放すのであれば、少しでも早い方が得です。ぜひお早目に当店にご相談ください。


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