最近の若い人は、古事記とか日本書紀を読む機会が少ないのでしょうか?日本の神話についてほとんど知らない人が増えてきているような気がします。別に知らないからといって日常生活に支障がでるわけではありませんし、受験に役立つわけでもないので、学校とかでは教えないのかもしれませんね。でも、そうやって日本神話を知らずに育ってきた人たちは、初詣など神道由来の風習や文化をどのように認識しているのでしょうか?なんだか不思議な感じがします。
わたしの子供のころは、絵本などの昔話の中で、イザナミとイザナギの物語や、雨の岩戸のお話、因幡の白ウサギ、ヤマトタケルの東征などを聞かされたものでした。記紀を直接に読んだ事はなくても、ある程度は日本の神話たちに親しんできたのですが、今の若い人たちには、そういうのがないのでしょう。絵本も今はグリム童話やディズニーなど洋風なお話はあっても、日本の昔話はあまり見かけないので、無理もありませんが、日本の文化、伝統に触れずに成長してきた世代はかわいそうですね。
今の日本の紙幣に描かれているのは文化人ばかりですが、戦前のお札には日本神話の登場人物が描かれていた事もあります。それだけ日本神話が身近だったのだと思います。たとえばこの画像の一円札に描かれているのは武内宿禰という人物で、日本書紀や古事記に登場する神話的人物です。記紀の記載をまともに信じるとこの人は5代の天皇に仕え300歳くらいまで生きた事になるので、架空の人物か、一族か特定の役職が名前を受け継いだ複数の人物ではないかと考えられています。また、画像を用意することができませんでしたが、武内宿禰と同じ時代に三韓征伐を指揮した神功皇后を描いたお札や、七福神でおなじみの大黒様や恵比寿様を描いたお札もあり面白いです。
やはり戦後に、戦前を全否定する風潮ができてしまったために、世代を重ねるごとに日本神話から疎遠になっていったのでしょう。たしかに戦前は神道は国威発揚に利用された面があります。しかし、そのように利用されるずっと以前から、日本人の生活の中に日本の神話は生きてきたのですから、日本人の原点である事には変わりありません。今、日本は長引く景気の低迷に苦しんでいますが、このような時だからこそ、日本人の原点である日本神話に触れることで、日本人としてのアイデンティティを再確認することが大切なのではないでしょうか?