今、日本国内の金相場は過去差高値を日々更新しているので、どんどん金相場が高くなってきているような印象を受けるかと思います。しかし、これはあくまでも円建てでの話です。ドル建てで見ると、一時は2050ドルまで高騰したものの、その翌日には2000ドルを割り、1910ドルから1965ドルあたりを行ったり来たりしている日々が続いています。やはり国際的な市場では2000ドルは高すぎるという評価なのでしょう。
ドル建てでの金相場は上がっていないのに、円建ての金相場が上がっているのは、為替の影響です。アメリカの金利が引き上げられた一方で、日銀は金融緩和を続ける意思を見せているので、この日米の金利差がドル買い・円売りを招き、6年ぶりの1ドル120円台の円安になりました。今月前半の金の高騰はロシアのウクライナ侵攻が原因でしたが、後半の金の高騰は戦争とはまた別の理由によるものですのでご注意ください。
円安も平時ならありがたいものです。工業品などの輸出が盛んな日本では、海外に日本製品を売るチャンスが広がりますし、外国人にとってみては安価に日本旅行ができるわけなので、インバウンドも期待できます。しかし、コロナのせいでインバウンドは期待できないですし、エネルギーや食糧を輸入に頼る日本は、様々な分野で悪影響が出てくる事になります。ただでさえ、ロシアがウクライナに侵攻したせいで、世界的に燃料や小麦などが高騰しているのですから、今後の不安も大きいです。とはいえ、非人道的な侵攻を続けるロシアから燃料や食糧を買うわけにもいきません。苦しい状況が続きますが、激動する世界情勢から目を離さないようにしていきましょう。