執拗に挑発を続けていた北朝鮮の金委員長が、このところおとなしくなってきましたね。先月には南北首脳会談が行われ韓国の文大統領と友好的な雰囲気を全世界に見せつけ、来月には米朝首脳会談も行われるようです。南北首脳会談では朝鮮半島の完全な非核化を目標とすることで合意したようですし、米朝首脳会談でも非核化について話し合われるでしょう。トランプ大統領が就任して以来続いていたアメリカと北朝鮮との対立が収束するかもしれません。日本にとっても、隣国からの核兵器の脅威がなくなる事はありがたい事ですし、この米朝首脳会談をきっかけに拉致問題が解決する事も期待できます。
一昨年に下がりつつあった金相場が、去年一年間大きく値下がりする事無く高い水準を維持できた要因の一つは、このアメリカと北朝鮮との対立でした。もし、米朝間の緊張がなくなれば、金相場は下がるのではないかと推測できます。また、極東情勢が安定すれば、海外から日本への投資や旅行客が増える事も期待できます。特に東京オリンピックも近づいてきているのでなおさらです。海外から日本への投資や旅行客が増えれば、必然的に円が買われ円高になります。円高になれば国内の金の価格は下がるので、より大きく金相場が下がる可能性があります。米朝首脳会談の結果次第で、金の相場が大きく変わる可能性がありますので、注目していきましょう。
ただ、トランプ大統領はトラブルメーカーなのか、化学兵器を使ったとされるシリアを攻撃してロシアとの対立を深め、イラン核合意からの離脱をして中東でも火種を作っている。日本にとっては北朝鮮は近いだけあって脅威も大きいですが、全世界にとっては、米ロ関係の悪化や、中東の情勢が不安定になる事の方が大きな脅威です。米朝関係が改善されたとしても、この2つの問題がますます大きくなってきたら、逆に金の相場を押し上げる可能性もあります。もちろん、トランプ大統領が驚異的な手腕を発揮して、ロシアとの良好な関係を築き、欠陥のあるイラン核合意に代わるものを作り上げるかもしれません。そうなれば当然世界はより平和になり、金相場は下がる事でしょう。もはやトランプ大統領の動向が金相場も動かしていると言っても過言ではありません。