50年近く前の事ですが、沖縄がアメリカの占領下から日本に返還される前の頃に、沖縄で使われていた琉球切手という切手がありました。沖縄が日本に返還されれば、その琉球切手は発行されなくなるので、琉球切手は価値が上がるので買っておいた方が良いと多くの業者が宣伝し、高値で琉球切手を買ってしまった人が多かったそうです。実際は価値が上がるどころか、切手としての効果も失われたため、値上がりを期待して投機のつもりで買った人たちは大損してしまいました。
切手だけでなく、土地やマンションのような不動産、絵や掛け軸のような美術品など値上がりするという触れ込みで売っていた品が本当に値上がりする事は稀です。バブルの頃に数百万円で売ってた壺が、1万円にもならないなんてよくある事です。そもそも、値上がりするのがわかってるなら、売る方が手放すわけないですからね。売り手は、値上がりしますとか、価値がありますとか上手い事を言ってきます。本当は売りたくないんだけどあなたにだけ特別に売ります。なんて売り渋るフリをするケースもあるし、マスコミなどを使って人気がある雰囲気を作って売ろうとしてくるケースさえあります。大げさなように思えるかもしれませんが、実際に琉球切手の時は、琉球切手への投機を煽る書籍が出回り、百貨店などを巻き込んで大ブームが作られたそうです。欲しいと思って買うのなら良いのですが、投機のつもりで買うのであれば、売り手に乗せられると痛い目にあいます。
最近のビットコインなどの仮想通貨の過熱っぷりを見ると、この琉球切手の件を思い浮かべてしまいます。仮想通貨は、確かに上手く使えばまだ大儲けできるチャンスがあります。実際に儲けている人も多いでしょう。しかしその性質上、儲けている人と同じだけの損をしている人がいます。1億円儲けた人が一人いたら、1万円損した人が一万人います。仮想通貨はみんなが金持ちになれる幸せの世界ではなく、他人を煽って高値で掴ませ、安値で損切りさせる事ができる人が美味しい汁を吸える弱肉強食の世界なのです。仮想通貨に投機する人は、損をするリスクと他人を蹴落とす覚悟を持ってのぞんでください。わたしにはとてもそんな覚悟は持てません・・・