何度もこのブログでお話してきましたが、国内の金の価格は、国際的なドル建ての金相場と、ドル円の為替相場によって変動します。金相場が高くなっても円高になれば国内の金の価格が下がる場合もあるし、金相場が下がっても円安のおかげで金が高くなる事もあります。
実際に、世界の金相場が最も高かった2011年は極端に円高になってしまっていたので、国内の金価格は今と大差ない金額でした。今は世界の金相場はもっとも高かったころから40%近く値下がりしているにも関わらず、日本では世界が最高値だったころと大差ない金額で取引されるのですから、売る側からしたら得な話です。
さて、5月に入って国内の金の価格はじわじわと上がっているように見えます。しかし、世界の金相場は上がったり下がったりで落ち着かない。そして金相場に歩調を合わせるように円相場も上がったり下がったりしています。国内の金価格は一見して安定して上がっているようなのでまた金が高くなってくるのではないかと思えてしまいますが、金相場の影響と円相場の影響とがシーソーのようにバランスを保っているおかげで安定しているように見えるだけで、実は激しく変動しているのです。
金というものは、それを持っているだけで利益を生む品物ではないので、その価値が上がったり下がったりすると考えるべき品物ではありません。通貨の価値が下がりそうな時に、キャッシュの一部を金に換えておけば損をしないですむという保険のような品物です。そのため、アメリカの景気が悪くなってドルの価値が下がれば、相対的に金の価値が上がりますし、ドルの価値が下がれば相対的に円の価値も上がるので、価値の上がった円から見ると金の価値が上がっていないのは当然なことと言えます。
最近、アメリカの景気回復の足取りが重くなってきている感じがあり、金利引き上げを先送りする可能性が高くなってきた事で、ドルの価値が下がり、相対的に金と円の価値が上がる事が多くなってきましたが、遠からず金利引き上げは実施されるのはほぼ間違いないので、ドルが上がり金と円が下がるという動きが頻繁におこります。実際に金利引き上げが実施されるまではこのシーソーゲームは続いて行くと思います。利上げ後にどう動くか?さらに東京オリンピックに向けて日本の景気が回復したらどうなるか?あるいはアメリカや日本の景気再建がこけたら?今後の金価格の変動のポイントはこのあたりだと思うので、注目していきたいと思います。